医学論文解説 〜Toshi's Lab ジャーナルクラブ報告
第1回

株式会社ロコモジェンで研究開発を担当しています天野と申します。 現在、“シノビオリン”というたんぱく質をターゲットにして、関節リウマチの画期的な新薬を開発することに挑戦しています。今回、当社の取り組みについて紹介させて頂きます。

これまで、関節リウマチの薬としては、非ステロイド系抗炎症剤、遅効性リウマチ薬などが長年使われてきました。また、最近、抗サイトカイン療法と呼ばれる有用な治療法が開発されましたが、残念ながら、いまだに根治的な治療を実現するには至っていないのが現状です。

このような状況のなか、関節リウマチの根治的な治療薬を開発するために、株式会社ロコモジェン(Locomogene)を2001年5月に設立しました。社名の由来は、関節リウマチを代表とする運動器(Locomotor)疾患の原因を、遺伝子(gene)レベルで探り出し、治療法に結びつける使命を果たすことからきています。

中島教授は、関節リウマチの治療薬の新規ターゲットを見つける糸口として関節で異常に増殖する滑膜細胞に焦点を当てて研究を進めてきました。その結果、新規な遺伝子の発見に成功し、この遺伝子を滑膜細胞(Synovial cell)にちなんでシノビオリン(Synoviolin)と名づけました。

シノビオリンをマウスで過剰に発現させたところ、関節炎と酷似した症状を示し、一方、この遺伝子を通常の半分にしたマウスでは関節炎が起こりにくくなりました。さらに、シノビオリンは酵素であることから、薬のターゲットとして非常に狙いやすいものであることが判りました。

これまでの研究成果から、シノビオリンの量を減らす、もしくは、酵素活性を阻害することにより、関節リウマチの治療につながると考え、我々はいくつかのアプローチを行い、着実に成果を上げつつあります。

また、国内外の研究機関・バイオベンチャーと、強力なネットワークを構築し、研究開発を合理的に進めています。このようなアプローチにより生み出された成果は、大手製薬企業との積極的な提携により、新薬の開発スピードを加速させています。現在、聖マリアンナ医科大学に所在する当社のゲノム創薬研究所におきましては、大学の支援のもと、約40名のスタッフが日々、最先端の技術を駆使して研究開発を効率的に実施しています。

さらに、本年2月には、開発研究所を横浜サイエンスフロンティア(横浜市鶴見区)のリーディングベンチャープラザ内に開設し、製品化のプロセスをより強力に推進しています。関節リウマチの画期的新薬の開発は、必ずしもやさしいものではありませんが、ユニークなターゲット設定とアウトソーシングも含めた合理的な創薬システムを構築することが、世界に先駆けて革新的な新薬を生み出し、多くの患者さんに福音をもたらすものと考えています。今後とも皆様のご支援を頂けますと幸甚です。

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