医学論文解説 〜Toshi's Lab ジャーナルクラブ報告
第2回

多くの新治療薬のおかげで、関節リウマチをめぐる状況は改善していますが、関節リウマチの患者様、そして医療関係者や研究者が満足できる状態ではないでしょう。

抗TNF抗体治療の確立後も、関節リウマチに関する膨大な研究情報が発表され続けていることは、未解決な問題が多い現状を象徴しています。さらに次々と紹介される新たな関節リウマチの増悪因子の報告は、関節リウマチが絡んだ糸の様に手のつけ難い病態であるというイメージを強くし、この疾患に関わる人々を途方にくれさせる事もあります。関節リウマチの患者様により良い生活を送って頂くためには、この混沌とした状況を打開してくことが重要ですが、その鍵は疾患の捉え方にあると思います。

「関節リウマチはシステムの破綻病である」と、聖マリアンナ医科大学難病治療研究センターの中島利博先生は繰り返し述べておられます。近年のシノビオリンの研究をもとに、たんぱく質の工場が関節リウマチ増悪の原因たんぱく質を止めどなく作り続けるという過剰生産システムが病態であると考えているのです。もしこの説が証明され、過剰生産システムを是正する方法を見出す事ができれば、TNFはもとより、免疫を異常活性化するその他のサイトカイン、関節を破壊する酵素など、多くの過剰たんぱく質の生産を、まるで蛇口を閉めるように抑えてくれる可能性があります。これに成功すれば、複雑に絡んだ関節リウマチ原因因子の糸を一つ一つほどいていく必要はありません。システム破綻の是正によって、複雑な病態を作っている様々な因子を一網打尽にするからです。

関節リウマチの病態をシステムの破綻と捉える考え方は広がりを見せつつあります。これまで多くの医師、研究者が積み重ねてきた関節リウマチに関する貴重な知識を再認識し、最も効果的なシステム破綻の調整を行う方法を見出していく事で、より効果的で安全な治療法が確立されていくと期待されます。

最後に、中島先生は第一回のメッセージの中で、「リウマチファンサイト」は関節リウマチの患者様、そのご家族や関係者、医療従事者、研究者のためのボールパークでありたいと願いを込めておられました。関節リウマチは闘病という言葉があてはまる疾患です。患者様と医師、研究者がチームプレイ、ファインプレーを賞賛し、そして闘いの合間にふと見上げると青空が広がっているような場所になってくれればと思います。

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