医学論文解説 〜Toshi's Lab ジャーナルクラブ報告

第5回「癌抑制活性を持つ転写因子p53を制御するNUMB(ナム)」

今回の論文は英国Nature誌より乳癌の予後に関わるNUMB(ナム)という分子に関するお話です。

p53という転写因子は癌細胞の増殖を抑える働きを持っています。普段p53はMDM2という酵素(ユビキチンリガーゼ)によって、ユビキチン化という修飾を受け、分解されることで量が調整されています。抗癌剤がなぜ癌に効くのかというとp53を安定化させ、MDM2によって分解されないようにしてp53の量を増やして癌細胞の増殖を抑えるためです。

今回NUMBという分子がMDM2の持つ酵素活性を抑制することがわかりました。実際、細胞中のNUMBの量を少なくしてみると、MDM2によってp53の量が増えず、抗癌剤が効きにくくなりました。そこで彼らは抗癌剤治療を受けている乳癌患者を癌細胞中のNUMBの量が少ないグループと多いグループに分けて予後を見てみました、その結果は予想通りNUMBの量が少ないグループは予後が悪いことが証明されました。

将来、乳癌組織中のNUMBの量を測定するようになって、量の少ない場合に補充して抗癌剤の効きをよくするという治療法が開発されてくるかもしれません。

(文献:Nature. 2008 Jun 3; 451(7174):76-80)

要約:Toshi's Lab ジャーナルクラブ 佐藤 知雄

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